divire の設定ファイルについて

divire にも「設定ファイル」が存在します。

これは基本的には、ツールの終了時に、実行していたときの設定を保存しておく役割を持っています。

divire の設定ファイルは、簡単に閲覧・編集できるようになっているのが特徴で、設定ファイルを直接修正することでのみ可能になっている項目もあり、それは以下2点になります。

  • 線画として指定可能な画像ファイル形式の設定
  • “Regions” に設定可能なレイヤー最大数の調整

この記事では、divire の設定ファイルのあらましと、それを閲覧・編集することによる活用法をご紹介します。

divire の「設定ファイル」とは

divire の入手方法の紹介記事の中(こちら)でもすでに多少説明しましたが、ツールを終了するたびに、実行ファイル( divire.exe )と同じフォルダに入っている divire.xml というファイルが更新されます。もともと存在していなかった場合は、新たに作成されます。

この divire.xml が、divire の「設定ファイル」になります。

したがって、divire のツール設定を完全に初期化したい場合は、 divire.xml を削除(またはリネーム)して下さい。

divire.xml は、XML 形式のファイルです。XML 形式は広く利用されている「マークアップ言語」で、その内容はテキストとして閲覧・編集できます。閲覧するだけなら、各種の web ブラウザにドラッグアンドドロップすると、階層構造がわかりやすく表示されるのでおすすめです。編集したい場合は、Windows 標準の「メモ帳」などの「テキストエディタ」を用います。

divire.xml が存在しない状態で divire を起動し、何もせずに即座に終了させると、divire の初期状態の設定が divire.xml に記載されます。初期状態の設定を記した divire.xml の内容は、次のようになっています。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<FrontendConfiguration xmlns:xsd="http://www.w3.org/2001/XMLSchema" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance">
  <FileScheme>
    <SourceExtentionList>
      <FileExtention>.jpg</FileExtention>
      <FileExtention>.png</FileExtention>
      <FileExtention>.tif</FileExtention>
    </SourceExtentionList>
    <Suffix>_R</Suffix>
    <ExportDestination>SameAsSource</ExportDestination>
    <ExportDirectoryPath>D:\_D_Pictures</ExportDirectoryPath>
    <ExportStyle>Jpg</ExportStyle>
    <IsAutoRenameEnabled>true</IsAutoRenameEnabled>
  </FileScheme>
  <ConstructionScheme>
    <HasLayerOfPeriphery>true</HasLayerOfPeriphery>
    <HasLayersOfRegions>true</HasLayersOfRegions>
    <HasLayerOfMiscellaneous>true</HasLayerOfMiscellaneous>
    <HasLayerOfBackground>true</HasLayerOfBackground>
    <MaxCountOfRegions>99</MaxCountOfRegions>
    <CountOfRegions>12</CountOfRegions>
    <BackgroundStyle>SourceImage</BackgroundStyle>
    <ColorValueOfPeriphery>4D4C49</ColorValueOfPeriphery>
    <ColorValueOfRegionFirst>FA8EA4</ColorValueOfRegionFirst>
    <ColorValueOfRegionLast>6CB4DD</ColorValueOfRegionLast>
    <ColorValueOfMiscellaneous>E2E6D3</ColorValueOfMiscellaneous>
    <ColorCalculation>Hue</ColorCalculation>
    <OrderOfRegions>AreaDescending</OrderOfRegions>
    <OpacityOfLayers>255</OpacityOfLayers>
    <BlendMode>Normal</BlendMode>
  </ConstructionScheme>
  <ProcessingScheme>
    <ThresholdOfLines>128</ThresholdOfLines>
    <ReferenceOfPeriphery>TopLeft</ReferenceOfPeriphery>
    <ExcludesPeripheryFromRegions>true</ExcludesPeripheryFromRegions>
    <LaysColorOverLines>false</LaysColorOverLines>
    <MaxThicknessOfLines>11</MaxThicknessOfLines>
    <IsOpeningEnabledAfterColoringOverLines>false</IsOpeningEnabledAfterColoringOverLines>
  </ProcessingScheme>
  <ExtraInformation>
    <WindowTop>0</WindowTop>
    <WindowLeft>0</WindowLeft>
    <WindowHeight>908</WindowHeight>
    <WindowWidth>420</WindowWidth>
    <AllColorsOfRegions>
      <ColorValue>FA8EA4</ColorValue>
      <ColorValue>F78BB9</ColorValue>
      <ColorValue>F587CE</ColorValue>
      <ColorValue>F284E4</ColorValue>
      <ColorValue>E681EF</ColorValue>
      <ColorValue>CA7EED</ColorValue>
      <ColorValue>AF7BEA</ColorValue>
      <ColorValue>9478E8</ColorValue>
      <ColorValue>7875E5</ColorValue>
      <ColorValue>7288E2</ColorValue>
      <ColorValue>6F9EE0</ColorValue>
      <ColorValue>6CB4DD</ColorValue>
    </AllColorsOfRegions>
  </ExtraInformation>
</FrontendConfiguration>

初期状態の divire.xml の内容


この記事では、個々の項目の内容についてまでは詳しく説明いたしませんが、divire を実際にちょっと使ってみた方なら、書いてある文言から、それぞれが何を意味しているのか、容易に想像できるのではないかと思っております。


線画として指定可能な画像ファイル形式の設定

divire が自動塗り分けの対象として指定できる「線画」の画像ファイル形式は、初期状態では、PNGTIFFJPEG 形式の3種類になります。個人的にはこれで十分事足りるようにも思っているのですが、

「Windows ビットマップ形式( BMP 形式)を使いたい!」

とか、あるいは逆に、

「(色の情報が失われているのが不安なので)うっかり JPEG 形式を使いたくない!」

という方もひょっとしたらいらっしゃるかもしれません。

こうした場合は、設定ファイルを編集することで、線画として指定可能な画像ファイル形式を拡張または限定することができます。

設定ファイル( divire.xml )の中で、初期状態で線画指定可能なのが PNG・TIFF・JPEG 形式であることを示しているのが、次の部分です。

divire.xml が存在しない状態で divire を起動し、何もせずに即座に終了させると、divire の初期状態の設定が divire.xml に記載されます。初期状態の設定を記した divire.xml で、画像ファイル形式に関する内容は、次のようになっています。

<SourceExtentionList>
  <FileExtention>.jpg</FileExtention>
  <FileExtention>.png</FileExtention>
  <FileExtention>.tif</FileExtention>
</SourceExtentionList>

divire.xml での画像ファイル形式の設定箇所

それらしい内容が書いてあるのを確認できると思います。

ご推察の通り、<SourceExtentionList> 以下に、次のような書き方の行が記載されていれば、該当の画像形式を divire で指定可能になります。

<FileExtention>画像形式に対応するファイル拡張子</FileExtention>

divire で指定可能な画像ファイル形式を追加しようという場合は、この書き方で行を追加してください。

各画像ファイル形式に対応するファイル拡張子としては、以下を用いてください。

画像ファイル形式対応するファイル拡張子
JPEG 形式.jpg
JPEG 形式(拡張子が「.jpeg」のもの).jpeg
PNG 形式.png
TIFF 形式.tif
TIFF 形式(拡張子が「.tiff」のもの).tiff
Windows ビットマップ形式( BMP 形式).bmp
JPEG2000 形式.jp2
WebP 形式.webp
divire.xml で画像ファイル形式の指定を行う場合に記述するファイル拡張子

例として、初期状態でも指定可能な PNG・TIFF・JPEG 形式に、BMP ・ JPEG2000 ・ WebP 形式を追加した場合、divire.xml の記述は以下のようになります。

<SourceExtentionList>
  <FileExtention>.jpg</FileExtention>
  <FileExtention>.png</FileExtention>
  <FileExtention>.tif</FileExtention>
  <FileExtention>.bmp</FileExtention>
  <FileExtention>.jp2</FileExtention>
  <FileExtention>.webp</FileExtention>
</SourceExtentionList>

また逆に、画像形式を追加するのではなく、制限したい場合は、使用しない画像形式に対応するファイル拡張子の記述された行を削除してください。

divire を WebP 画像変換器として使う小技

余談になりますが … WebP 画像形式などは 2020 年現在 web 上ではわりと流布している画像形式であるわりに、表示することすらできない画像系ソフトが少なからず存在します。こうした場合、divire を利用して WebP 形式を JPEG または PNG 形式画像に変換する小技があります。

上述の、divire.xml に「 .webp 」ファイル拡張子を追記する方法によって、divire に「線画」として WebP 画像形式を指定可能にしたあと、 レイヤー構成設定ページで、“Periphery” “Regions” “Misc.” のチェックを OFF にし、“Background” を Source Image モードにした、下図のような状態にします。

divire を画像形式変換器として利用する

別に divire に指定する「線画」画像ファイルはその内容が「線画」である必要はないので、この状態で、任意の WebP 形式画像を指定すれば、対象ファイルを JPEG または PNG 形式に変換した画像を出力することが可能です。


“Regions” に設定可能なレイヤー最大数の調整

divire.xml の、初期状態のものだと 20 行目に、次のような記述があります。

<MaxCountOfRegions>99</MaxCountOfRegions>

この「MaxCountOfRegions」の数値は、divire の “Regions” に設定可能なレイヤー最大数を決定します。したがって、“Regions” に設定可能なレイヤー最大数を増やしたい(または減らしたい)場合は、この数値を書き換えてください。

“Regions” に設定可能なレイヤー最大数を拡張したようす

ただし divire.xml によって設定可能な “Regions” のレイヤー可能最大数の下限は 2上限は 252 となっております。それを下回る、もしくは上回る数値を「MaxCountOfRegions」に指定しても、その数値は反映されませんのでご注意ください。


“Regions” を構成するグラデーション色の RGB 値を参照する

divire で レイヤー構成設定ページの “Regions” の枠は、上下の2か所のみ色の設定が可能で、その「間の色」は、グラデーションをつくるように自動計算された値が割り振られますが、間のどこか特定の色を設定するということができません。したがって、色変更を行うための「小窓」を出せないので、表示された色の RGB 値を参照することができません。

もし、この「間の色」の RGB 値を知りたいという場合には、興味あるグラデーション色が表示されている状態のときに、いったん divire を終了させてしまって、そのとき更新された divire.xml の、いちばん下の方の記述を見てください。

<AllColorsOfRegions> 以下の行には、“Regions” の枠の上下2か所を含めて、“Regions” 領域の塗り分けに使用されるすべての色(グラデーションを構成する色)が記述されます。

たとえば、初期状態のグラデーション色のまま更新された divire.xml では、次のように各色の RGB 値が記載されています。

<AllColorsOfRegions>
  <ColorValue>FA8EA4</ColorValue>
  <ColorValue>F78BB9</ColorValue>
  <ColorValue>F587CE</ColorValue>
  <ColorValue>F284E4</ColorValue>
  <ColorValue>E681EF</ColorValue>
  <ColorValue>CA7EED</ColorValue>
  <ColorValue>AF7BEA</ColorValue>
  <ColorValue>9478E8</ColorValue>
  <ColorValue>7875E5</ColorValue>
  <ColorValue>7288E2</ColorValue>
  <ColorValue>6F9EE0</ColorValue>
  <ColorValue>6CB4DD</ColorValue>
</AllColorsOfRegions>

どうしても divire のグラデーションの色の RGB 値が知りたいという場合には、こうした設定ファイルを覗いてみる方法も試してみてください。

もっとも、グラデーションの中間色を知るには、「マス目」を描いたような線画を divire に指定して、塗り分け順序を「左上から右下へ」に変更(方法についてはこちら)し、PNG 形式で塗り分けファイルを出力すると、整然とグラデーション色が出現した画像を生成できるので、その画像からお絵描きソフトの「スポイト」機能で色を抽出するという手段もあります。

72 個の正方形のマスを描いた線画

たとえば、上のようなマス目を描いた画像(参考画像ダウンロード: lattice72.png )を使って、その 50 か所にグラデーション色を並べた、次のような画像を divire から出力することができます。

グラデーション色を並べた画像

マス目を数えてスポイトする手間がかかるので、やはり設定ファイルを覗いた方が早いでしょうか … ?


まとめ

この記事では divire の設定ファイルの活用法をご紹介しました。

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